今回は、経営者なら読んでいない人はいないといわれる1997年出版の世界的ベストセラー「イノベーションのジレンマ」を勉強していきます。
これは企業が必然的にはまっていく罠の仕組みと事例、対処法を解説してものです。
これはもう非常にシンプルでわかりやすく、そして本質をついている指摘なので、考えをまとめるベースの素材として素晴らしいです。
これは企業が陥る罠として書かれていますが、スポーツをやるうえでも当てはまりますし、勉強や個人の仕事にも同様の現象があります。
つまりは人間社会の本質を示している一つの現象であるということです。
これはしっかり押さえていきましょう!
ポイントまとめ
各ポイントの詳細を参考動画・リンクをもとに見ていきます。
【12分で解説】イノベーションのジレンマ【会社を滅ぼすのは、まさかのイノベーションでした】
イノベーションが会社を滅ぼす
大きな会社が落ちぶれる理由。油断や慢心、目先の利益の追求ではない。
イノベーションに投資する優良企業こそが、一直線に崩壊する。
順風満帆な大企業が、イノベーションに滅ぼされる例は枚挙にいとまがありません。
それには避けがたい仕組みがあって、普通に優秀な経営をやっていると自然とその罠にはまっていくという構造があります。
これがなかなかショッキングだし、だんだんはまる罠が巧妙で、相当組織的にこれを避けていかないと会社は相当危険な状態に陥ります。
倒産までいかなくても、ぎりぎりのところまで追い込まれてから再浮上というケースも多くあります。
できればそういう目にあいたくないですよね。
持続的イノベーション
お客様のニーズにこたえる。イノベーション
これはどんな会社でもやっていく、既存商品の改善です。
すでに大きな主力のビジネスには絶対に投資しますから、持続的イノベーションをやらない会社はほとんどないでしょう。
当然時間が経過すればお客様の要求水準もあがっていきますし、ライバル企業も改善の投資をしてきますので、ほぼこれは避けられないでしょう。
破壊的イノベーション
お客様のニーズに対応しているかわからないイノベーション
- ガラクタみたいな商品を安く売る
- 売れてる商品と全く別の商品を作る
これは非常に苦しく、大変なことです。
圧倒的に持続的イノベーションに投資されているわけで、ポッと出の商品はまったくのクズで全然売れません。
そこに投資するのは苦しいことです。
それでも投資できるかどうかは、ダイヤの原石を見極められるかどうかという勝負になります。これはなかなか厳しい。
筋の良い投資ができるかどうかは、
- 技術を見る目
- 市場を見る目
- お客様の困りごとの本質を見る目
が求められます。かなり運みたいな要素も求められる厳しい選択です。
世界的カメラメーカー「コダック」
世界で初めてデジカメを開発。カメラ付き携帯に破壊された。お客様のニーズにこたえて高画質な軽いカメラを開発し続けた。
カメラ付き携帯のカメラは当時圧倒的に画質が悪かった。
しかし10年後、携帯のカメラで十分だという風にお客様の考えが変わった。
一番わかりやすい典型パターンが「デジカメvsカメラ付き携帯」ですね。
かれこれ15年前の携帯電話のカメラってほんとにしょぼくて、まったくデジカメと戦えるものではありませんでした。
それでも顔がわかるとか、簡単な状況を説明できるとか、通信機にのっかっているのは十分意味はありました。
なので通信機の機能として、普通に発達しましたが、デジカメはまったく別の存在として認識されていました。
そこから5~6年たったくらいで、デジカメと互角になってきて、カメラケータイ、みたいな売り方が成立してきました。
そこからほどなくして、デジカメ画質をブチ抜いて、いまや一眼レフとすら並ぶレベルに至ってきました。
もちろんデジタル的に補正を加えているので本物の一眼レフにはまだまだ及ばないものの、もはや素人には補正のせいでかえって携帯カメラの方がよく見えるという見方さえ多くなってきました。
最初は見向きもされなかった携帯カメラ
しかしコツコツ改良を加えているうちに、お客様のニーズに追いつくこのときデジカメの画質はお客様のニーズをはるかに超えている。
結局おなじように持続的にイノベーションしていくと、後発の商品もお客様のニーズにおいついてしまうわけです。
しかもデジタル時代はすぐに部品を組み合わせるようにして性能を発揮してしまいます。
急激に追いつくというわけです。
しかも物理的な制約はAI計算のかっこうのターゲットになります。だからこそ一眼レフと互角に勝負できる携帯カメラが登場してくるわけです。
一昔前ではさすがに考えられませんでした。レンズの大きさが違いすぎますからね。
投資家とお得意様を無視できない
イノベーションに破壊される主要な理由。株主は、わけのわからない投資を許さない傾向がある。
そんなことをするなら配当しろという圧力がある。
またお得意様は、過剰な品質を求めがちな傾向がある。
破壊的イノベーションというのは、破壊的だけに、現行の自分の商売をぶっ壊す可能性が高いわけです。
だから破壊的なわけで、そして破壊されるわけです。
しかし自ら破壊される開発をするというのは、そうなる未来がよく知られていたって、できないものなのです。
洗濯機を売っているメーカーは、洗濯機の高機能化は必死に開発しますが、洗濯機が必要なくなるテクノロジーは開発したくないですよね。それが自然です。
しかも最初はくだらないテクノロジーにみえるわけです。
洗濯機のプロであればあるほど、くだらないようにしか見えません。会社の中でそんな開発をしていても憤慨されるだけです。
難しいですよね。
既存のビジネスをやる人材しかいない
優秀な人材はいるが、既存のビジネスにとって優秀な人を集めている。
モノづくりの会社は、モノづくりのプロばっかり育成します。
採用も育成も、その中の人が基本的に選ぶわけで、そうなるのは必然です。
これこそ本当に避けるのが難しい仕組みですね。
モノを作っているメーカーが、急にゲームや映画を作ろうとしても、それは相当に難しいことなんです。
それでも超絶頑張って、たとえばソニーは世界一のゲーム機会社になりました。
これは本当にすごかったですね。映画というベースがあったからできたのだと思いますが。
その後、マイクロソフトもこれまた巨大資本と買収をベースに頑張りに頑張り抜いてゲーム会社としても君臨しています。
これまた世界一レベルの会社なのに、ゲーム市場で頭角を現すのに10年以上かかりましたね。これはすさまじく長い時間我慢した結果です。
解決策:ゲリラ部隊をもつこと
フットワーク軽く奇襲を仕掛ける部隊をもつこと。これから伸びる可能性があるが小さすぎる市場に参入できる。
持続的イノベーションに加えて、破壊的イノベーションを起こしていく。
結局、みずから破壊的イノベーションを起こすしかないということです。
それを可能にするには、既存ビジネスで成功している中の人、ようするに偉い人が、つまらない足を引っ張らないことです。
これが難しくてほとんどの企業はこの破壊的イノベーションを自ら興すことはできません。
ある程度の額を社内の予算で投資するとなると、偉い人への報告は絶対に必要になるからです。その人の責任で経営していますからね。
そんなとき、本業が少し不調になったら、一気に削減対象になってきます。
「イノベーションのジレンマ」を読んでいない経営者はいませんが、それでもなかなかこの罠を避けるのは難しいものです。