戦略・計画もなく思い付きで行動するのがダメなのはもはや常識かと思います。
時間やお金の無駄がとんでもないことになりますし、優れた戦略をもっていれば対抗する相手が簡単に巻き返せない状況を作ります。
山を登るときに、地図をよく研究して一番楽なルートを探すのがまず第一の戦略です。天候や気温、時間帯に応じた日照などもすべて計算にいれて入念に計画をたてます。
そして頂点に一番に立って、その拠点をまもるには、競争相手を頂点に近づかせない戦略も必要です。登っている途中で道を破壊するのか、道しるべを誤った方向にかえるのか。
ここでは容赦なく入念に後続をつぶすことで、争いにすらならない状況を作り出します。少しでも優位に立ったら、その優位を盤石にするため相手の体力を削り抜きます。
ポイントまとめ
各ポイントの詳細を参考動画・リンクをもとに見ていきます。
ストーリーとしての競争戦略
優れた戦略=ストーリーがある戦略
思わず人に話したくなるような面白いストーリーがある戦略がよい戦略。優れた戦略はただ勝てるというわけではなく、長期的に勝ち続けられる。
ストーリーがあって、人に語りたくなる戦略があると、大きな組織を動かすことができます。伝搬力が高い戦略ということですね。
中国の「一帯一路」などが有名です。すべての道は中国に通じるというシルクロード構想の現代版。その強力な構想にしたがってとんでもない人口の人々を動かしています。
GAFA、テスラなど著名な企業はどれも特有の戦略があり、それぞれ書籍になるくらい語り、語られる対象のストーリーを持っていますよね。
優れた戦略を立てるためには、変であるポイントを盛り込むこと
一見して非合理なポイントを盛り込む。ぱっと見たときに変だと思わせるポイント。部分的に見れば変だが、戦略全体を俯瞰すれば合理的というポイントを作る。
行動自体をピンポイントでみるとバカみたいだが、全体視点でみるとなるほど、と思えるポイント。
ここが考え抜きたいポイントです。
合理的に考え抜き、変に見えるポイントがでてくるほど考え抜くということだともいえます。
そうでないと、単に何も考えていない普通の、誰でも思いつく行動計画にしかならず、それはすでに誰かがやっていて、うまくいくなら常識になり、うまくいっていないならうまくいかない戦略になるからです。
部分的にみても、全体から見ても合理的な戦略は、よくない
誰もが思いついて、誰もが行動に移しやすい戦略では機能しない。この先にあるのは模倣と熾烈な戦略。価格競争に巻き込まれ、長期的に利益が出ない。
他社からしたら模倣したくない、模倣する気にならない戦略を目指す。
模倣されにくいというのは大きなポイントですね。
かなり戦況が進んでしまい、目的が明らかになるまで競合が模倣してこない戦略を立てられれば、時間がたつほど優位に立てます。
競合が気が付いたころには圧倒的な差がついている。
ただし実行が難しいので、大きな組織を動かすにはこれを納得させられるストーリーが必要ですよね。
スターバックスの日本進出戦略
直営店方式だけで店を増やした。直営店方式は土地もオーナーもすべて自前。フランチャイズ方式はスピードが速く、リスクも少ない戦略。
直営店方式はリスクが高く、スピードも遅かったが、逆にスターバックス全体の戦略として正しかった。
スターバックスは「安らげる場所」を提供するサービス。フランチャイズ方式では椅子を詰め込んで、コーヒー売りになってしまう。
自分たちが何を売っているか、をしっかり理解して戦略を立てているということですね。
ドリルを買う人は、ドリルがほしいのではなく「穴」がほしいという有名なマーケティングの言葉があります。顧客がほしいものをしっかり分析し、何が求められているのかを探ります。
marketing-campus.jp
最近はモノよりサービスというのが定着していますから、ドリルを売るより穴をあけるサービスを売る方がよさそうというのは定着しています。
なのでさらに一歩進んだ分析が必要ですね。どんな穴をあければいいかを分析してあげるところから入るとかですね。
変な戦略、変な人を目指す
人からバカだと思われる、言われるのがうまくいっているサイン。全体的に合理的と思えるなら、積極的に変なポイントを盛り込んでいく。
結局、くそ真面目ではうまくいかないのですよね、残念ながら。学校の勉強とは違うとよく言われますが、学校教育の弊害がでてしまう部分があります。
まじめが至高のものではなく、変わったことをやる必要があることを理解する必要があります。
まじめな人はまじめな人で、それはよい性質なので、そのうえで変わったことをやる必要があることを理解して行動すれば大丈夫です。
楠木建『ストーリーとしての競争戦略』作文アドバイザー藤本の3分で分かる!ビジネス書のポイント
中古車買い取り専門・ガリバーの戦略
通常の中古自動車屋は買い取り・売却を同時に行う。ガリバーは買い取りだけを行う。買い取り専門にすることによって、買い取りの基準の明確化、スピードアップが可能になった。
全国同一の買取金額などがお客様への安心感を与える。買い取った自動車は別のルートで捌く。
「買い取り専門」というフレーズをなんとなく最近よく聞くなとは思っていましたが、なるほど納得ですね。
こういう風に、従来売るのと買うのを同時にやるのが中古屋さんの常識だと思われているものを分離する。
これによってお客様に安心感を与える、売るときの都合を考えている姿を見せないようにするというのはうまいやりかたです。
まとめ
人に語れる戦略を作れるというのは、リーダーとしての非常に重要な資質です。
これは天性としてもっている変人もいるとは思いますが、意識して能力を伸ばすことが十分できます。意識していれば天然の変人を超えていくことも十分可能です。
「ストーリーとしての競争戦略」はリーダーになる、リーダーを目指す人にとってバイブルの一つといっていい名著ではないかと思います。
仲間と語り合うネタとしても非常に面白いのでお勧めです。