大塚家具と言えば、前社長 vs 前社長の娘の争いというイメージですよね。
とはいえそのお家騒動はだいぶん前の話になるんですけれども。
なのでそこまでお家騒動をひっぱっているひともいないのかもですが、同時に存在感もほとんどなくなったのが現実では。
お家騒動の原因は、前社長の高級家具ブランド路線に対し、娘の新社長のカジュアル路線を押し進めたことでした。
その当時、会社を大きく伸ばすには、カジュアル路線にかじを切る必要があると判断したのはそれほど間違ったことではなかったかもしれません。
少子高齢化の社会、独身化社会など日本社会の今後の行く末を現実的に考えると、高級家具路線は将来的に厳しいと判断する経営者は多いでしょう。
実際この10年、どんどん独身率もあがってきている状況です。
その意味で判断したその時点では、間違っていなかった。高級家具路線ではやはり厳しかったでしょう。
ただ残念ながら、高級家具路線を捨てきれず、中途半端な戦略になってしまった。
結局売り上げを生み出しているのは高級家具であったために、ビジネスを転地させる勢いを出せなかったのが痛かったですね。
成功体験をすて、今の売り上げをすてて新天地にいくということは、壮絶な痛みを伴います。
結局煮え切らないままずるずると中途半端な路線を進んでしまい、一方で高級家具という大塚家具のブランドイメージは順調に沈んでいきました。
父娘の争いから始まった路線転換で変に目立ってしまって、新社長には気の毒な展開になってしまいました。しかし誰にとっても難しいかじ取りだったと思います。
こうしたことは様々な会社で起こりうる事象なので、しっかり勉強しておきたいところです。
ポイントまとめ
各ポイントの詳細を参考動画・リンクをもとに見ていきます。
毎月5億円のキャッシュが消えて行く大塚家具。資金ショートは時間の問題か!?
毎月5臆円のキャッシュが消えている。
資金ショートが見えてきている。売上高が大きく減少、大赤字。
100億あった現預金が21億9千万。
9月末でこの状態なので、このままのペースだと年内にほとんどの預金がなくなるということになります。
順調に現預金が減ってきていて、下げ止まってから上げていくというのはほとんど奇跡。
となると資金ショートが視野にはいりまくってますね。
6月末の増資で得た資金もきれいに溶かしてしまい、もう万策尽きている状態ではないでしょうか。
このときの増資でも計画した38億円が調達できず、26億円にとどまりました。
これをさらにきれいに溶かした以上、追加の資金調達は極めて厳しいと言わざるを得ないですね。
ようやくネット販売をはじめた
家具のネット販売の市場は拡大している。
いまやネットショッピングが極めて浸透していて、電車の中でも服を物色している人をよく見ます。
家具もIKEAやニトリの通販が非常に支持されています。
そんな状況ですので、大手家具屋ならば当然ネット販売はしますよね。
しかし大塚家具という大規模展示場で高級家具を売るスタイルだったブランドのまま、高級家具を売るのは少々厳しい。
ネット上で大塚家具のページに行って家具を買う人がどれだけいるでしょうか。IKEAをググっていくならわかりますけれども。
大塚家具は高級家具が売り
高級家具をネットで買うかというと、買わない。ネットでかうのはせいぜい2-3万円。200万円の家具は買わない。
なんでもかんでもごちゃまぜの戦略にもなっていないやりかた。
いま「令和最初の年越しカウントダウンセール」をやっています。
やはり10万円、20万円越えの商品がならんでいます。これが30%引きとかかれても正直ピンときません。
定価がそもそも価格競争力があるように見えないので、割引されてもお得感が感じられないのですよね。
高級家具ってもともとそういうものだし、独特の質感が売りになるわけで、ネットでみたらIKEAやニトリで一桁違う商品とどこが違うのか、伝わりませんよね。
そこは本当に悩ましい。
ネットで大規模にやるなら別のブランドを立ち上げるなどの戦略があった方がよかったでしょうね。
そのうえで低価格帯商品をフルラインナップ揃える形にすべきです。
もちろん今更やっても無理で、これを数年前から仕込んで今結果が出るかどうか、というところですが。
立て直すには店舗販売を立て直すしかない
店舗を縮小するといっているが、来店誘致を改善するしかない。
「大塚家具」ブランドを立て直すには、やはり店舗しかないというのは同意ですね。
店舗あっての大塚家具ですから。
ただ、あれだけ壮絶に父娘バトルを展開してしまった手前、それがやりにくいのかもしれません。
それなら株主は社長を更迭すべきということですよね。
それをしてこなかったのだから仕方がない。
店舗および大塚家具ブランドを復活させるか、大塚家具ブランドを捨てて低価格路線に振り切るか。あるいは両立か。
いずれにせよ方向性をハッキリさせていくべきですね。
大塚家具ブランドで高級も低価格も両方やる、店舗での営業はライトにする、という超絶中途半端な戦略はワークしないことはすでに証明されています。
先代の社長と争った負のイメージがありすぎる。
ブランドイメージが棄損しているなか、高級家具は売れない。ワタミのように、ブランドを隠す戦略をとるべき。
ワタミがブランドイメージを大きく損ねた事件がいくつも重なった時期がありました。
そこからワタミの業績は一気に悪化しました。
しかしワタミやワタミを容易に連想させる店名を改めていって、悪いイメージを払拭することに成功しました。
実際名前やブランドの意味合いを変えて、生まれ変わったと言えるでしょう。
大塚家具も低価格をやるならブランドは隠すべきですね。
ただ高級家具をやるならば大塚家具で勝負すべきでは。高級品を売るには、なんやかんや歴史のあるブランドが必要です。
ひどくお客様を裏切った不祥事ではなく経営陣のお家騒動なのでブランドイメージの回復はやろうと思えば可能なはずでした。
大塚家具株価がやばい?お家騒動以上に大塚家具の株価が?
この期に及んで黒字の見通しをかえず
今までの9カ月で210億円の売り上げ。来年4月までに231億円の売りが必要。
いくらなんでも非現実的な事業計画をこの期に及んで発表しています。
もはやこのくらいの気合で行かないと、どうせつぶれるということなのでしょうか。
危機感をあおるにしても、残っているのは気合だけなのかなと思わせられます。
特段戦略的にテコ入れがなされていると思えませんからね。
在庫一掃セールのようなセールを始めていますが、これでどこまでうれるか。
サイトを見た限り、もう一段おもいきったセールを展開しないとなかなか爆発的には売れないのではと思わせられます。
まとめ
正直いまごろは身売り先をさがしているのではと思いますが、どうなのでしょうか。
令和元年の最後に帝国データバンクからのニュースリリースということになる可能性が少なからずありますね。
この際、いちど落ちるところまで落ちて、清算すべきを清算したのち、ブランドイメージを一新して再起を図るのがよいのかなと思います。
思い切って現代的なIoT家具をベースにするとか、サブスクリプションを基本にするとか、現代風にビジネスモデルを一気に転換するのも手ですね。
この年末年始くらいのタイミングがいよいよということになってきますが、むしろ反転攻勢の一大転換点になるのではと期待しています。